スーパー早期審査が結構スーパーだったという記事を書こうとしたら先を越されていた件。

ここは、専門家にとっては「お前今さら何言ってんだ」というネタをスタートアップ/ベンチャーの方向け(?)に説明するコーナーです。

先日初めて特許庁の「スーパー早期審査」という制度を利用しました。おかげさまでスーパー早期審査童貞を卒業です。わたしはじめてなの。

最近、ベンチャー支援を高らかに打ち出している特許庁ですが(余談ですがMt. FUJIイノベーションキャンプの最終日ビジネスプランコンテストにアスキー×特許庁のチームが来ていて、知財の重要性を訴えておられました。地道な活動に頭が下がります)、スーパー早期審査はベンチャー支援の施策の一つです。要するにベンチャー案件はめっちゃ早く審査してあげます!という制度で、確かこの制度を開始したときには「二日で特許査定にしました!」的なリリースを出していたやに記憶しております。

今回の私の担当件では9月4日に審査請求したところ、最終的に10月8日に特許査定になりました。さすがに二日というわけにはいきませんが、それでも普通の実務家の感覚からすると「はやっ」というところです。特許庁頑張ってます。

ちなみにも少し詳細にいきますと、本件はもともとPCT国際出願でした。出願したのがゴールデンウィーク前です。国際調査報告が出たのが7月で、かなり上位のクレームで進歩性あり、との判断でした。それ見てお客さんと前祝い的な祝杯をあげつつ、さてどうしますかと聞くと、急いで特許にするかどうか少し考えますということでした。何回かやりとりを挟みつつ、9月初めにお客さんから「決めました。この件はなる早で特許にしたいです」との連絡がありました。そしてスーパー早期審査の請求です。

9月4日に国内移行&審査請求したものの、PCT出願なので願番が付くのに1週間くらいかかりました。そして9月24日に拒絶理由通知が来ました。つまりファーストアクションまで20日です。方式手続のぶんをさっ引くと実質13日でファーストアクションです。これは早い。拒絶理由は軽微な記載不備に関するものだったので(スイマセンスイマセン)、拒絶理由が送達されたその日に意見書・補正書を提出しました。で、無事10月8日に特許査定をいただきました。

まあ拒絶理由を1回挟んでしまったものの、トータル1月と4日で特許査定ってのはなかなかのスピード感です。早い。早いよ特許庁。

で、この喜びを、世界中の人に自慢したいよと思って「特許庁のスーパー早期審査をやってみたら結構スーパーだった件」というエントリを書こうとして、その前に一応、と先行文献サーチをしたら『特許庁のベンチャー向け「スーパー早期審査」をやってみたら本当にスーパーだった(語彙力)』という記事を発見しました。し、しまった。先を越された。遅かった、と思った次第です。

ちなみに私が過去に一番スーパーだと思ったのが、こないだ織田裕二主演で日本でリメイクもされたアメリカの弁護士ドラマ「SUITS」で、ハーヴィー(主役の一方)がマイク(主役の他方)に「さっき出した特許が拒絶されたぞ!どういうことなのかUSPTO(注:米国特許庁)に電話して確かめろ!」とか指示するシーンがあったような・・・。てか超うろ覚え過ぎるのでSUITSシーズン1第3話「特許の罠」を見直してみたら、実際はこうでした。

ハーヴィー「特許庁からワイアットに連絡があった。」

マイク「それで?」

ハーヴィー「却下された(It’s been denied.)」

マイク「なぜ?」

ハーヴィー「似た出願があった」

マイク「先を越された?」

ハーヴィー「向こうが出願してから24時間経ってない」

ってことで24時間経たずにファーストアクション(拒絶)!!スーパー仕事早いよUSPTO(米国特許商標庁)。

まあなんかハーヴィーとマイクの会話はちょっとでも特許やったことある人には突っ込みどころ満載ですが、今日のところはSUITS世界のUSPTOは超絶仕事が早い、というところで、特許庁もぜひこのレベルを目指して頑張っていただきたいと思います。