スタートアップはどのタイミングで弁理士に知財の相談をしたらよいのか。
スタートアップはいったいどのタイミングで弁理士に知財まわりを相談したらよいのか?と悩んでいる方がおられると思います。
私は声を大にしてすべてのスタートアップに言いたい。それは・・・
今です!
ていうか、うちの所長も事務所ブログで書いてますが、できたら創業前のコンセプト段階で相談に来て下さい。プロダクトが完成してなくてもいいんです!ていうか完成してない方がいいんです!え?完成してないのに弁理士に相談すんの?と思うかもしれませんが、ちゃんと理由はあるんです。
(理由1)新規性が無くなるのを防止できる(可能性が高まる)。
特許制度って、基本的に公開になったものは「新規性無し」ってことで特許取れなくなっちゃうんです。自分で公開してもアウト。法律的にすごい厳密なこというとピッチで発表したらそれでアウトです。現実問題としてはピッチで発表したからといって直ちにそれだけで拒絶はされないですが。とはいえ、ピッチの様子がウェブ記事で紹介されたり、新聞に載っちゃったりするとかなりヤバいです。よく「スタートアップの資本政策は後戻りできない」と言われますが、特許も後戻りできません!いちおう救済規定がないことはないのですが、あくまで救済規定ですし、外国では救済規定が無いところの方が多いです。
さらにまずいのは、そのピッチを見た他人にパクられてしまったとき。そして最悪なのは、そのパクった他人があなたより先に特許を取ってしまったときです。そうするとその特許を取り戻すのには相当な手間とお金と時間がかかります。ひょっとしたら証拠が足りなくて取り返せないかもしれない。
プロダクトが完成したら目いっぱいピッチして、世界中の人に自慢したいよ!ってなりますよね。安心してピッチするために、ぜひとも先に特許を出して下さい。
(理由2)ヤバい特許を踏まないよう、事前にピボットできる。
新しいと思うビジネスアイデアやプロダクトも、特許レベルで見ると誰かが既に似たものを出願済だったりします。出願だけなら最終的にどういう形で権利になるか分からないし、最近は減っていますが大企業案件だと権利化せずにそのまま取下になっちゃうこともありますのでセーフかもしれません。だけど特許が成立していたりするとヤバいです。そのアイデアを実装したら、プロダクトを製造販売したら、特許侵害で訴えられちゃうかもしれない。あなたの会社や相手の会社が小さいうちは、訴訟してる余裕が無いので相手の特許を踏んでいてもスルーしてくれるかもしれません。でもfreee対マネーフォワードの特許訴訟みたいに、両者がそこそこ大きくなった段階で訴えられたりするかもしれないので油断なりません。
事業が始まった後で訴えられたりしたら対応が大変です。もう製品を量産しちゃってるかもしれないし、多くのユーザを獲得しちゃってるかもしれない。後戻りできねえ!!って状態です。そうなる前に、特許調査(クリアランスとかFTO (Free To Operate)とかいうやつです)をしてください。プロダクトが完成していない段階で侵害の可能性に気づけば、設計変更でかわせるかもしれません。ひょっとしたら事業自体をピボットしないといけなくなるかもしれませんが、傷が浅いうちに撤退できる分、マシかもしれません。
(理由3)開発の幅が広がる。
特許文献って技術情報のカタマリですから、FTO等の調査で挙がってきた文献を読んでみると、あなたのプロダクト開発のヒントになる情報が含まれているかもしれません。というか是非ヒントとして利用しましょう。先人の知恵を利用すれば、あなたのアイデアはもっと磨かれるはずです。
ということで、知財のことが気になったあなたは是非!今すぐ弁理士にご相談を!!